財団法人 小米穂原住民文化基金会からのお願い
ゼミの皆様
われわれの大切な友人である呉豪人氏より、下記のようなメッセージが届きました。転送します。関心を同じくする人々にもお伝え願えれば幸いです。
梅森
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財団法人「小米穂原住民文化基金会」
88水害後の台湾原住民族文化を守る行動案
2009年9月8日
拝啓 初秋の候 皆々様ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
扨、新聞などの報道で、すでに多くの方がご存知と思いますが、台湾は、去る8月8日に台風8号が襲来し、多大な被害を受けました。
この台風は記録的な豪雨をもたらしました。主に阿里山以南の高山地域で激しく降り、山崩れや土石流、河川堤防の決壊といった災害を引き起こしました。このため、山間地域に居住する原住民族の村落は、未曾有といってよいほどの壊滅的な被害を受けました。災害地域となった山間地域に居住するエスニック・グループには、ツォウ族、ブヌン族、シラヤ族、ルカイ族、パイワン族の5つの原住民族をあげることができます。さらに中南部の河川下流域では、原住民族以外にも多くの被災者が出ています。被災地の惨状は、史上最悪といえます。
相次いで発生した山崩れや土石流は、一瞬にして家屋を呑み込み、多くの人々が家族、親族と生き別れになりました。比較的被害が軽いとされるいくつかの村落でも、道路が損壊して周辺地区との通行が不可能となりました。しかも、耕地が流失したため主たる産業である農業が大きな打撃を受けています。
その一方では、政府などによる救助作業も一区切り付きましたが、多くの被災者は住み慣れた家を離れ、避難所での不自由な生活を余儀なくされています。一難を逃れて息つく暇もなく、心身ともに疲弊した彼らには、村落の移転と再建という大きな課題が、今正に重くのしかかっているのです。
しかし、公共機関による公的な援助を望めば、時間をかけて煩雑な法的手続きをクリアして行かなければなりません。しかも、コミュニテイ再建の手続きを進めたところで、被害に遭った原住民族の、各族のそれぞれ異なる固有の情況と、個々の被害状況を配慮した十分な救済など、全く期待できません。
台湾の原住民族は、時には激しく揺れた歴史の流れの中で、固有の文化を築き上げてきました。その有形無形の素晴らしい文化は、台湾の誇りともいえるものです。
しかし、今回の台風による集中豪雨によって、今や消滅の危機に瀕しています。
にもかかわらず、社会の現状では、彼らの喘ぐ声は、固有の文化を惜しむ声は、無視されようとしているのです
そこで、私たちはNGOとして、原住民族の被災者が一日も早く元の生活に戻れることを願い、その復旧に協力することにしました。のみならず、彼らの文化の保全にも力を尽そうと、プロジェクトを立ち上げ、実行に移すことを決定しました。
私たちの行動計画は以下の5点です。
1.文化の伝承を守る
具体的行動:
民族文化の伝承を担う長老たちの実質的なサポートと、政府あるいは民間団体による若い世代への教育に連携し協力を実施します。例えば映像などの記録を活用し、それぞれの村落に残された重要な有形無形の文化財を伝え、村落の文化伝承の継続を図ります。また、こうした文化の伝承が、被災後の長老らの心の慰めとなり、精神的な拠り所ともなるとも考えます。
2.民主的手続を守る
具体的行動:
集落で生活を営んでいた人たちは、災害後、数箇所に分散して収容されていて、互いにコミュニケーションを図るすべがありません。しかし、村落の移転と復興という重要な局面を迎えています。ですから、当事者である原住民族が、政府機関と健全に、そして有効に、対話を重ねる必要があります。そこで、パソコン等の設備とインターネットによるネットワーク環境の構築に協力します。
このような通信環境を利用すれば、村落会議も可能となり、民主的手続きを確保することができます。
3.法律と人権を守る
具体的行動:
災害で家屋が損壊し、耕地も流失しました。親族の命も奪われた人もいます。これらの様々な情況から、多くの法律的問題が発生しています。これら損失の責任追及に際しては、すべて法律の専門家による協力を必要とします。本基金会では長期にわたって国内の法律扶助団体(日本で言うと法律支援センター)と協力関係を築いてきました。この良好な協力関係を活用して法律家と連携し、原住民族の文化の維持に必要な知識、情報を提供します。これは、何よりも被災した原住民族の立場を尊重するものであって、彼らが享有すべき権益の保護を促進するものであります。
4.村落再建を守る
具体的行動:
多くの集落が土石流による大きな被害を受けており、居住困難な状況となっています。被害を受けた村落を支援する組織設立の支援を行うことで、各地から寄せられた経済、教育、就業、心理といったさまざまな方面からの政府・民間団体の支援を、村落の人々へ円滑に届けるシステムの確立を目指します。
5.生態環境の維持を守る
具体的行動:
災害の後、台湾各地の生態環境をいかに維持していくかという問題が、各方面で考えられ始めています。しかし、原住民族たちの声は彼らの耳に届いていません。原住民族は総人口のわずか2%に過ぎませんが、台湾島嶼の面積の半分以上を伝統的に有してきました。今後の台湾島嶼における生態環境の永続的な維持を考える上で、原住民族固有の生態観念に基づいた議論を加えることが必要です。彼らの意見を届けるための協力を行っていきます。
以上の活動に賛助していただけましたら、下記の方法による義援金の募金をお願い致します。
台湾からの支援につきましては、こちらからお願い致します:
財団法人小米穂原住民族基金会 郵政口座番号:19705371
ウェブ・サイト: http://www.millet.org.tw/index.php
(台湾では、領収書は税金控除の対象内になります。)
連絡先:台湾台北県新荘市24205中正路520号輔仁大学法律系呉豪人教授研究室気付
メールアドレス:052409@mail.fju.edu.tw
日本からの支援は、こちらからお願い致します:
銀行名:みずほ銀行(mizuho)
銀行支店:四条支店(475)
口座名義:清河 雅孝(きよかわ まさたか)
口座番号:1683060
口座種類:普通口座
連絡先:清河法律事務所
〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満1丁目8番9号ヴィークタワーOSAKA2406
TEL:(06)6360-0434 (06)6360-0435
FAX:(06)6360-0437
E-mail:legal-km@mx5.canvas.ne.jp
http:www.km-legal.com 清河法律事務所
(当基金会より、領収書を発行いたしますので、義援金を振り込んだ後、ぜひ当事務所にお知らせください。)
発起人
小米穂原住民文化基金会理事長 呉豪人(輔仁大学法律系准教授)
日本支部代表 清河雅孝(京都産業大学名誉教授)
執行部 理事 黄智慧(「ルカイ族部落重建連盟顧問団」召集人、
「小林平埔原住民族文化重建協会」発起人」
中央研究院民族学研究所所員)
理事 Awi Mona ( 台東嘉蘭部落自救会法律顧問。
国立台東大学南島文化研究所助理教授)
理事 陳為祥(全国法律扶助基金会副秘書長)
理事 林佳和 (国立政治大学法律系助教授)
詳細な被害地域については、小米穂原住民文化基金会のウェブ・サイト上に掲載しておりますのでご確認ください。
なお、義捐金の届け先を指定なさるのであれば、宛て先を明記してください。指定の当地もお送りいたします。
以上のとおり、台湾は、そして台湾の原住民は、援助の手を必要としています。
人類の文化を守るためにも、宜しくご協力のほどをお願い申し上げます。
敬具