このサイト、Posterousへ移転してみました

どこかが新しい「家」になるということは、けっして以前いた場所を捨てるというわけではなくて、帰るべき場所が増えるということならば、放浪のまねごとも悪くはないかと思います。

というしんみりしたメールが、NYに帰着した梅森先生から届きましたので、ほんならということでゼミサイトも移転してみます。
http://ummr.posterous.com/

あしたは歴研近代史部会大会

上地さん繁田さんが司会だそうです。

2011年度 歴研近代史部会 大会
植民地認識を問い直す──継続する「戦争」、終わらない「分断」

日時:2011年5月22日(日)、10:00〜
会場:青山学院大学青山キャンパス
報告者:
愼蒼宇さん
朝鮮半島の「内戦」と日本の植民地支配──韓国軍事体制の系譜」
浅田進史さん
「植民地における軍事的暴力と社会創造──ドイツ植民地統治の事例から」
コメンテーター:宋連玉さん、檜皮瑞樹さん
司会:繁田真爾さん(近代史部会運営委員)、上地聡子さん(近代史部会運営委員)

主旨文:
 19世紀以降に構築された植民地主義は、今なお機能している。現代における資本と労働の新たなグローバルな編成のもとでは、かつての『先進』/『後進』 の枠組みは融解したかに見える。しかし、植民地支配から連なるむき出しの暴力と社会の分断は、旧植民地社会に偏在し、この枠組みをむしろ再編成し強化している観さえある。これらの意味で、“植民地支配は終わっていない”。この植民地主義の継続に対して、旧宗主国の人々の関心が希薄であるならば、そうした継 続を不可視化する構造を問う営みは喫緊の課題であろう。
 近代史部会はここ数年「近代の支配原理」に注目してきた。今年度はその一環として、継続する「戦争」と終わらない「分断」という観点から植民地支配とそ の認識を再検討する。植民地研究の多様なアプローチのひとつとして、植民地時代から継続して現地の社会を規定してきた政治的な権力関係に対する新たな認識 を喚起した「植民地責任」論が近年とくに注目を集めており、2010年度の大会全体会「いま植民地責任を問う」でも取り上げられた。我々はこの「植民地責任」論の成果のなかでも、とりわけ次の二点──1. 制度的な独立以後も暴力的な支配体制が残存し、その社会を分断したシステムもまた解体されることがなく、 むしろより巧妙な権力関係となって現在まで機能し続けていること、2. いわゆる戦時の問題のみを扱ってきた従来の「戦争責任」論とは異なり、平時を含む恒常的な生活の破壊についても考察の対象としたこと、に注目したい。
 植民地主義は、表向き現地の安定と発展を標榜することで支配の正当性を確保していた。反面、その社会を支えてきた独自のシステムは非合理的なものとして 否定され抑圧されるとともに現地の人々を引き裂き相争わせるシステムがその社会の深くにまで打ち込まれる。たとえば英国のパレスチナ委任統治においては、 欧米「ユダヤ人」を頂点とした支配体制を構築するために、現地アラブ人社会のあり方を「野蛮」と規定して、旧来のイスラム教、キリスト教ユダヤ教の宗教 共同体間秩序を破壊し、暴力の応酬を恒常化させた。このように植民地主義の支配体制は、現地社会を蹂躙しただけでなく暴力の契機を振りまくことで、なによ りも人々の生活を脅かし続けるものであった。そして、今なお世界各地ではその残滓に苦しめられている人々がいる。この意味で植民地とされた社会は今日まで 常に平和から最も遠い位置にあるといえるだろう。
 一方で宗主国の社会は、「文明化の論理」という神話のもとで、植民地支配体制を是認していた。この論理に従うなら、本大会のキーワードである「戦争」と 「分断」は、宗主国側からすればたとえば「秩序維持」と「社会の再編成」と読み替えられる。植民地社会を暴力的に組み換え、宗主国に都合のよいシステムに 変容させられる過程は、この読み替えのレンズを通すことで悲惨な現地の実態や血生臭さが取り除かれ、好ましい価値観を付与され、宗主国社会の人々の歓心を 得る幻想へと置換された。「共存共栄」というようなグロテスクな幻想は、こうした正当化の読み替えを植民地への認識上の暴力に変換させる重要な仕掛けであ る。この幻想の下では植民地の抵抗活動は目指すべき理想への障害として扱われ、抑圧や現地支配協力者への権力の強化を促すことになってしまった。加えて、 このような幻想が機能していることは、宗主国の社会、また国際社会からもその支配体制が是認され、宗主国同士の協力体制が構築されるうえで不可欠であっ た。
 植民地支配とは、このように植民地および宗主国、さらには国際関係にいたる多層な構造によって成立していた。これが継続して機能していることに関しては 多くの研究が指摘してきたことであるが、近年旧宗主国からの研究には植民地問題を正当化、合理化しようとするものが出てきている。植民地にまつわる幻想も また、いまだ機能しているようだ。植民地支配を通じて社会に内在化した「戦争」と「分断」のあり様に着目することで、このような幻想を批判し、近代以降に 構築されたこの暴力的な構造が、まさに我々の現在の社会の基礎にあることを明らかにして、植民地認識への新たな地平を拓くことを目指したい。
 以上の問題関心から、今回は以下の二人に報告を依頼した。
 愼蒼宇氏「朝鮮半島の「内戦」と日本の植民地支配──韓国軍事体制の系譜──」では、現代韓国における軍人優位の体系と民衆運動抑圧の体制が、日本と朝 鮮独立運動との50年にわたる「戦争」経験のなかでどのように形成されてきたのかを、1. 「親日派」軍人の形成過程、2. 植民地戦争下の社会組織化(自衛団/ 密偵組織など)、3. 朝鮮民衆の生活への影響と対立の様相、という三点に着目しながら検証する。そして、現代の朝鮮半島の「戦争」と「分断」に植民地主義が どのように再編されつつも継続しているのかを問い直す。
 浅田進史氏「植民地における軍事的暴力と社会創造──ドイツ植民地統治の事例から──」では、19世紀末・20世紀初頭のドイツ植民地統治の事例を通じ て、軍事的な暴力の存在・威圧・顕示・行使が植民地支配下に置かれた社会に与えた衝撃を、破壊のみならず、「創造」の側面に着目して再検討する。とくに、 その暴力を通じた社会創造──まさに「分断」の創造でもある──が、当時の植民地支配を前提としていた世界秩序をいかに支えていたかについて考察する。
 両氏の報告に対し、宋連玉氏と檜皮瑞樹氏からコメントをいただく。あわせて多くの方々の参加と議論をお願いしたい。
文責:武田祥英

http://rekiken-kindai.blogspot.com/

第50回近世史サマーセミナー

実行委員長の中西崇さんからご案内頂いたので、転載します。50回ということは50年ちかくやってきたってことでしょうかね。

第50回近世史サマーセミナー実行委員長の中西崇です。
東日本大震災の影響で、例年よりも募集開始が少し遅くなってしまいましたが、いよいよ第50回近世史サマーセミナーの参加募集を開始いたします。
第50回近世史サマーセミナーの詳細につきましては、下記「ご案内」をご参照下さい。

ご参加を希望される方は、
 ①氏名、②性別、③郵便番号・ご住所、④電話番号、⑤メールアドレス
を明記の上、Eメールで
samasemi50@yahoo.co.jp
までお申し込みください。
なお、申込〆切は2011年6月18日といたします。

実行委員一同、みなさまとお会いできるのを楽しみにしております。
なお、このメールは転送自由です。お誘い合わせの上ご参加いただければ幸いです。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

  第50回近世史サマーセミナー実行委員長

              中西 崇


 < 第50回 近世史サマーセミナーのご案内 >

日 程 2011年7月16日(土)〜18日(月・祝)
場 所 愛知県知多半島(観光旅館 かざりや)
全体会 「近世日本の「身分」を考える ―『<江戸>の人と身分』シリーズを素材として―」
 各巻評者 1巻 高槻泰郎  2巻 栗原健一  3巻 西村慎太郎
   4巻 吉成香澄  5巻 榎本 博  6巻 林進一郎
 全体評者 西木浩一
 応答者  深谷克己(『江戸の人と身分』シリーズ企画委員)

【スケジュール】
 16日 全体会①(各巻についての班別議論)、分科会
 17日 全体会②(シリーズ全体についての書評報告、応答、全体討論)
     レクリエーション、大懇親会
 18日 巡見(半田コース、ないしは常滑コース)

参加費  27000円程度(全日程参加の場合)
定 員  70名(先着順)

“江戸”の人と身分〈2〉村の身分と由緒 (〈江戸〉の人と身分 2)

“江戸”の人と身分〈2〉村の身分と由緒 (〈江戸〉の人と身分 2)

“江戸”の人と身分〈3〉権威と上昇願望 (〈江戸〉の人と身分 3)

“江戸”の人と身分〈3〉権威と上昇願望 (〈江戸〉の人と身分 3)

“江戸”の人と身分〈4〉身分のなかの女性 (〈江戸〉の人と身分 4)

“江戸”の人と身分〈4〉身分のなかの女性 (〈江戸〉の人と身分 4)

“江戸”の人と身分〈5〉覚醒する地域意識 (〈江戸〉の人と身分 5)

“江戸”の人と身分〈5〉覚醒する地域意識 (〈江戸〉の人と身分 5)

“江戸”の人と身分〈6〉身分論をひろげる (〈江戸〉の人と身分 6)

“江戸”の人と身分〈6〉身分論をひろげる (〈江戸〉の人と身分 6)

梅森直之出演情報:「ベネディクト・アンダーソンとの対話」

ベネディクト・アンダーソン×呉叡人×梅森直之、だそうです。

ナショナリズム研究の古典『想像の共同体』の著者であるベネディクト・アンダーソン(Benedict Anderson)教授は、台湾に対する共感的な理解者としても知られています。第13回学術大会記念講演の報告者として、アンダーソン教授をお迎えし、みずからのナショナリズム研究と台湾とのかかわりを中心に、台湾研究の意義と可能性についてお話しをしていただきます。

日 時: 5月28日(土) 13:00-16:45
場 所: 早稲田大学27号館 小野記念講堂
講演者: ベネディクト・アンダーソン教授(コーネル大学名誉教授)
対話者1: 呉叡人(中央研究院台湾史研究所)
対話者2: 梅森直之早稲田大学政治経済学術院)

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jats/taikai/13th/program13.html

また、別のたてもので同時中継するとか。

ナショナリズム研究の古典『想像の共同体』の著者であるベネディクト・アンダーソン(Benedict Anderson)教授は、台湾に対する共感的な理解者としても知られています。第13回学術大会記念講演の報告者として、アンダーソン教授をお迎えし、みずからのナショナリズム研究と台湾とのかかわりを中心に、台湾研究の意義と可能性についてお話しをしていただきます。

講演者: ベネディクト・アンダーソン教授(コーネル大学名誉教授)

対話者1: 呉 叡人(中央研究院台湾史研究所)
対話者2: 梅森直之早稲田大学政治経済学術院)

日 時: 5月28日(土) 13:00-16:45
場 所: 早稲田大学26号館 地下多目的講義室
*先着順:定員約60名
当日、12時から会場にて受付を開始します。

http://www.waseda-giari.jp/jpn/news/318

混みそうですね。

2011年度前期の予定

臨時書記係の飛田同志に拠れば:

今学期自主ゼミは、文献講読+報告とし、今のところ以下の日程で予定しています。文献は、マルクス『ドイツイデオロギー』(岩波文庫版)となります。

5/19 白井さんにマルクスについてお話をしていただく
5/26 ボツマンについて繁田報告
6/02 栗原報告
6/09 飛田報告
6/16 チェルシー報告
6/23 マルクス講読
6/30 マルクス講読
7/07 マルクス講読
7/14 イ報告
7/21 ハン報告
7/28 映画?

また26日について繁田さんが趣旨説明:

最近、話題になって久しいボツマンの本をようやく読了したのですが、これがなかなか面白い本で、少なくとも個人的には、ここ数年で読んだもののなかでは一頭地を抜けるような読書体験でした。
江戸時代から明治時代までの監獄(牢)・刑罰の歴史的変容を大観したもので、帯には「フーコー『監獄の誕生』の日本版といえる金字塔!」とありますが、それはともかく、リアルな刑罰の描写など、史料をハクソウして書かれた本書は歴史研究としても厚みがあり、手堅いものだと思います。

あと、この本の近代以降の部分は、梅森先生の博論にかなり依拠して書かれているようで、「ああ、先生は本当は世界的に偉い研究者だったのだな」と、これまでの無知と無礼をいたく反省させられました。

そこで、そのせめてもの罪滅ぼし(?)ではありませんが、私からこのボツマンの本の内容を簡単に紹介して、あとは梅森先生自身の最近の研究の状況を自由に話してもらおう、ということになりました。

ということで、暇と時間のある方は、次のボツマンの本と、それについて梅森先生が最近発表した書評にざっと目を通してきてもらえれば、はなしが分かりやすくなると思います。

・ボツマン『血塗られた慈悲、笞打つ帝国。』インターシフト(2009)
 Daniel V. Botsman “Punishment And Power in the Making of Modern Japan”Princeton University Press, 2005

・書評:『歴史評論』729号、2011年1月(以前ゼミMLに流れたものです)
 http://ci.nii.ac.jp/naid/40017401501


ドイツ・イデオロギー 新編輯版 (岩波文庫)

ドイツ・イデオロギー 新編輯版 (岩波文庫)

血塗られた慈悲、笞打つ帝国。?江戸から明治へ、刑罰はいかに権力を変えたのか?

血塗られた慈悲、笞打つ帝国。?江戸から明治へ、刑罰はいかに権力を変えたのか?

新刊書案内:『脱成長の道』

中野佳裕さんからご案内を頂きましたので、ご紹介します。


日本とフランスの研究者の手による共著です。消費社会の構造的矛盾を克服するための規範や実践を、事例研究を踏まえて議論しています。フランス人研究者の論文に関しては、ラトゥーシュの訳書同様、訳注を充実させました。関連するフランス社会・政治理論の動向も把握できるようになっています。

拙稿「脱成長の正義論」では、日本の原発問題を1990年代以降の正義論を踏まえて検証しています。

脱成長の道―分かち合いの社会を創る

脱成長の道―分かち合いの社会を創る