未来の視座から過去を見ること

きょうのGCOE「アジア地域統合」のセミナーは、
  彼自身による「梅森直之の旅程」
というような講演でした。

歴史というのは、現在、そして未来から、過去をみなおす、ということであります。
いままでの、一国単位で、その国がどういう国であるべきか、ということが中心的な課題であったような時代であれば、その視座からその国の歴史をみなおして、その国家に相応しい物語を作る、という一国史の考え方、これが当然重要な役割りを演じてきたのですけれども、ただ、これからわれわれがアジア地域統合というものを果たそうとする、と、地域統合した未来の視座から過去を見てゆく、という必要が出てくるわけでありまして、そうした意味において、グローバル化した社会に対応し得るような新しいアジア太平洋地域の歴史パラダイムというものを考えてみたい、というのがこのプロジェクトの大きな課題ということになります。
今日の話は、こうしたプロジェクトに向けて、まず理論的な話と、私自身がいままで個人的なプロジェクトとしてこうした歴史の構築に向けてどういう成果を挙げてきたのか、と──なんか自分で成果を挙げてきたというのは非常におこがましい、ねぇ、いいづらいんですけれども──どういう成果を挙げようとしてきたのか、そういうことについて簡単にお話して、紹介に替えさせていただきたい、と思います。